サン・フレアアカデミー

「TQE」合格者インタビュー

第60回 医学・薬学(和文英訳)

鍋岡さん

1.自己紹介をお願いします

第64回TQE「医学・薬学」の和文英訳に合格し、翻訳実務士の認定証を頂きました鍋岡と申します。現在は、会社員として働く傍ら、医薬翻訳者になるべく準備を進めています。

2.受検した言語の学習歴を教えてください

翻訳者を志すと決めてから、まずは英文法を復習するために、最低でもTOEIC 950点を取得することを目標に定めて、学習を始めました。翻訳にはTOEICなどの資格は必要ないということをよく耳にしますが、それはわざわざ受験しなくてもそれに相当する英語力を持ち合わせているのが当然という意味であると解釈しています。私は大学受験以来、真剣に英語を学習する機会が少なかったので、翻訳を行う上で大前提となる英文法をしっかりと復習し、頭に定着させるためにTOEICを利用しようと考えました。もちろんTOEICだけでは英文法を網羅することはできないので、一般の文法書を参考にして関連する英文法についても幅広く学習するようにしました。その結果、約1年で目標を達成することができましたので、次に翻訳学習に取り掛かることにしました。

3.翻訳の学習歴を教えてください

TQEを受験するまでは独学で約1年半学習し、TQE合格以降は医薬翻訳通信講座の受講を始め、現在も継続中です。独学では、翻訳や英語学習、医薬に関する様々な書籍を読むとともに、インターネットで公開されている医学論文や治験関連文書を教材として英訳と和訳の練習をしました。もっと早く通信講座を始めて実務に直結する学習をするという手もありましたが、私は通信講座を受講すること自体を一種の”トライアル”と捉えていましたので、すぐに人に頼るのではなく独学の限界を感じるところまで能力を高めてから、通信講座を受講することにしました。現在受講している通信講座では、自分の書いた英文を添削してもらえることが嬉しく、毎回添削結果が返ってくるのが楽しみで仕方がありません。

4.何がきっかけで翻訳者を目指そうと思いましたか

数年前、仕事で英語の論文を書く機会が増え、ぎこちない英文しか書くことができず、とても悔しい思いをしました。「その苦手意識を克服したい、でもどうせならとことん極めて翻訳者になってやる!」と決めたのが、翻訳をしようと思ったきっかけです。翻訳は英語→日本語の翻訳から始める方が多いと思いますが、私はネイティブが納得するような英語を書けるようになりたいという強い想いを持っているため、日本語→英語の翻訳から始めることにしました。英語が好きだから♪とか、得意だから♪という理由で翻訳を始めたわけではないので、翻訳は苦しいことの連続ですが、「Good translation!!」と言われるときの喜びを糧にして、これからも翻訳を続けていきたいと思います。

5.TQEを受検したきっかけは何ですか

当然のことですが、一人で学習していても誰にもアドバイスも評価もしてもらえないため、最初のころは悶々とした日が続きました。そこで、学習のモチベーションを高めるために、独学終了時の目標を「TQE合格」に設定しました。TQEは時間をかけて熟慮の上で課題を提出することができるので(現在は少し時間が短くなったようですが)、私の性格に合った試験だと思ったことも受験の決め手となりました。

6.TQE合格のために苦労した点、悩んだ点はどういったことでしょうか

初めての受験だったのでTQE対策講座なども受講してみたかったのですが、地方在住であるためそれも叶わず、ひたすら過去問を解くという対策しかできませんでした。過去問の解答を作成してみても、自分の解答のどこがどう間違っていて何が足りないのかを知るすべがなく、果たして本当に合格できるだろうかと常に不安との闘いでした。

7.苦労した点、悩んだ点はどのように解決されましたか

事前に取り寄せた3回分の過去問を徹底的に分析し、自分の解答とモデル解答の違いを細かく洗い出しました。さらに、TQEに出題されているものと似たような論文を精読して利用できそうな英語表現をピックアップして、本番に備えました。本番では制限時間ぎりぎりまで、出題された課題に関連のある英語論文をできる限りたくさん読み、似たような表現を探して、妥協のない完璧な答案作成を心掛けました。

8.合格した分野を受検するために参考にした書籍等はありますか

A Guide to Medical Writing」というウェブサイトです。医薬翻訳の基礎が問題形式で解説されており、文例も豊富なので、TQEに出題されるような英文を書くときに非常に役立ちます。

9.翻訳者としてのこれからの計画を教えてください

現在受講しているネイティブチェックによる翻訳学習を継続しながら、実際の業務を通して医薬翻訳の実務経験を積んでいく予定です。「人の役に立っていると実感できる」仕事をしたいという想いから、医学・薬学という分野を選択しましたが、将来的には、化学や工学など幅広い分野の和英・英和翻訳ができる翻訳者になって、日本の科学技術研究の発展に寄与したいと考えています。

10.TQE合格を目指す方々にメッセージをお願いします

TQEは、自分の解答が添削され、間違った部分についてのコメントが返ってくるので、今まで誤って使っていた表現や良くない癖を修正する貴重な機会です。また、継続的に受験することで、自分の翻訳能力が向上する過程を点数や級という客観的な指標で確認することができるので、モチベーションの維持に最適だと思います。私も前回受験した時に比べてさらにレベルアップしているという実感がありますので、次回のTQEではさらに高得点を狙いたいと思っています。

翻訳者登録後のお話

「TQE」概要