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講座Q&Aコーナー

IT・通信英語科Q&A

通信科受講生から寄せられたご質問を紹介しています。
回答は、中級講座「IT・通信」担当講師の、冨田淳二先生です。

“run”の和訳について。「動作する」と「作動する」はどのように使い分けたらよいでしょうか。
「作動する」は辞書の定義が微妙に異なるので、注意して使用する必要があります。
・機械や装置の運動部分が働くこと (大辞泉)
・機械が運転しはじめること。「エンジンが―する」(大辞林)

後者の意味で解釈される心配がなければ、「動作する」と「作動する」は同義語として使用できます。ただし、「作動する」は一般的には「機械」、「動作」は「ソフトウェア」に関して使用される頻度が高いようです。
Google での検索結果は以下のとおりです。
・「ソフトウェアが動作する」151,000件
・「ソフトウェアが作動する」 35,300件
※Googleでの調査はタイミングによって検索結果の件数が異なることがあります。
「搭載」の対する英訳は複数ありますが、使い分ける基準はあるのでしょうか?
一般の辞書で「搭載」は、「艦船・車両・航空機などに物資を積み込むこと。また、兵器を積んで装備すること。」と定義されています。
例 「ミサイルを搭載した原子力潜水艦」 (大辞泉)

ただし、IT・通信分野の場合、「搭載」はさまざまな意味で用いられるため、文脈上何を指すのか確かめてから英語表現を選びましょう。
代表的な例は以下のとおりです。

●「取り付けられた」:mount など
 例 top-mounted (上部に取り付けられた)
●「設置する」あるいは「取り付ける」:install など
 例 install...aboard a ship (~を船に設置する [取り付ける])
●「装備する」の意味:equip、come with など
 例 a modem-equipped laptop (モデムを装備したラップトップ機)
    equip the car with advanced technology (その車に高度な技術を搭載する)
    The new model comes with 640 K RAM and 128 K ROM.
    (この新型機には、640 KBの RAM と 128 KB の ROMが搭載されている)
●「組み込む」:incorporate など
 例 the Xxx processor at 800MHz is incorporated into this server
    (800 MHz動作の Xxx プロセッサがこのサーバーに組み込まれている)
image の訳語として「イメージ」「画像」などがありますが、どのように使い分ければいいのでしょうか。
character や text と区別しているとき (つまり文字情報ではないことを明確に示したいとき) は、「画像」と訳し、モニターに表示されたもの (ソフト コピー出力) やプリンターなどで印字したもの (ハード コピー出力) 示すときは、「イメージ」あるいは「像」と訳します。
メニューやリストボックスなどの UI から「~を選ぶ」という場合、select と choose のどちらを使ってもよいでしょうか?あるいは、何らかの条件(選ぶ対象や目的)によって使い分けるのでしょうか?
select と choose はほぼ同義ですが、以下のような差違が示されている辞書もあります。
『いくつかのものから特定のものを「選ぶ」という意味で choose は最も一般的な語。select は特にある目的のために最もふさわしいものを通例 3 つ以上から熟慮の上で選ぶこと。pick out、single out は同様のものから特に何らかの行為の対象として目をつけ、選び出すこと。』

IT・通信系各社では、マニュアル作成用にスタイルガイドを発行し、スタイルの統一を図っています。たとえばマイクロソフトでは、choose と select を以下のように使い分けるようにスタイルガイドで指定しています。

●メニューとコマンドに関して:“you can use choose or select. In this case, the user selects or opens menus: chooses commands that are on the menu; selects dialog box options; and chooses command buttons in dialog boxes.”
●ダイアログ ボックスに関して:“Use choose for commands and select for options.”
Microsoft Manual of Style for Technical Publications (Second Edition) より

したがって、メニューを開くときは select を、メニュー内のコマンドを選択するときは choose を使うよう指定し、マニュアル全体での一貫性を維持しています。マイクロソフトの案件を扱う場合、上記のようなスタイルガイドを熟読し、select と choose を適宜使い分けなくてはなりません。
job と task はどのように違うのでしょうか。
IT・通信分野で使用される job (ジョブ) と task (タスク) には次のような違いがあります。
「ジョブ」はユーザー側に近い表現で、オペレーティングシステム (OS) に外部から与えられた仕事の単位を表します(例 印刷を中止する際に表示される「このジョブを取り消しますか」など)。
一方、「タスク」はプロセッサ側に近い表現で、OS が資源を割り振って処理を行う場合の仕事の単位を表します (例 シングルタスク処理、マルチタスク処理など)。
しかし、当然のことながら、job や task は一般的な用語としても使用されるので、IT・通信分野での用語なのか、それとも一般的な用語なのかを適宜判断する必要があります。
IT・通信の翻訳で活用できるサイト (検索エンジン以外) を紹介してください。
下記のサイトは語義や内容を調べるのに極めて有効です。

OneLook 1,000 を超える英英辞書が一括検索できます。
Thesaurus com 品詞や意味ごとに異なる類異義語を示してくれます。
howstuffworks  コンピューター分野に限らず、さまざまな事柄を基礎から学べます。

また、Google ではさまざまなプログラムが用意されています。下記のツールを利用すると、非常に有用な情報を短時間で入手できます。

(1)ブック検索
(2)画像検索
(3)デスクトップ検索
(4)Custom Search Engine
(5)iGoogle
(6)Knol
(7)Patent Search
(8)Google Scholar
(9)Chrome
略語の訳の順についての質問です。以下のように、たまに訳文が原文と逆になっている場合がありますが、原文と逆の順でも正解となるのでしょうか。
①the accelerated graphics port (AGP):AGP (アクセラレーテッド グラフィックス ポート)
②PCI-Express (PCI-E):PCI-E (P-Express)
③RAM (ランダム アクセス メモリ):Random Access Memory (RAM)
基本的に 3 つの対処法があります (翻訳学習の初期段階では①に従えば問題ありません)。
日本語では「略語 (元の表現)」、英語では「元の表現 (略語)」と表記します (→上記の例)。
クライアントのスタイルガイドで「原文と同じ語順で処理する」と指定されていれば、それに従ってください。
指定されていなくても、文脈から判断して原文どおりの語順で訳すこともありますが、それは略語があまり一般的でない場合です。そのような略語を含む例文を以下に示します。
●Improve Return on Investment (ROI). AllFusion Gen also has a proven track record of providing bottom line results. The ROI that can be realized with AllFusion Gen is significant in both initial development of the application (cost per line of code, training costs and more) and downstream maintenance. One of our customers’ reports:
●投資利益率 (ROI) の向上 企業の収支報告においても、AllFusion Gen の実績は証明済みです。初期段階のアプリケーションの開発 (コード行あたりのコストやトレーニング費用など) から、最終段階の保守にいたるまで、AllFusion Gen を使用することにより、投資利益率は目に見える形で向上します。以下は、お客様から寄せられた報告です。
副読本“How Computers Work”の各セクションに対応しているチャプターは読んでいますが、学習段階ではどの程度まで内容を理解する必要があるのでしょうか?
まずは各セクションに対応するチャプターに目を通した後、関連するチャプターを必要に応じて読むとよいでしょう。
英文で理解できない部分は日本語のサイトを検索するなどして理解を深めてください。専門用語が日本語でどのように表現されているか知ることも大切です。下記に参考サイトを挙げておきます。
これ以外にもさまざまなサイトがあるので探してみましょう。
■基本的な内容・・・情報機器と情報社会の仕組みと素材集
■専門性の高い内容・・・@IT (アットマーク IT)
CNET
また下記のような辞書も参考にしてください。
Yahoo! コンピューター用語辞典 (ディレクトリ)
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